法律と通達の関係
今日は勉強していませんが、ある著書の内容について考えさせられました。
その著書には、回収見込みのない金銭債権は即、貸倒損失を計上すべしとありました。
税務署から指摘があれば、回収できるというならそれを証明するように言えば、
税務署も何も言い返せない、とのこと。
会計税務を勉強している側としては、何を言ってんだ、こいつ!?と思ったのですが、
言われてみれば、貸倒損失の具体例は通達にしか記載がありません。
しかし、通達は国税内部の指示書のようなものなので、納税者に従う義務はありません。
税務調査で指摘があっても納得できなければ裁判で争うことになります。
一応、税務調査と裁判の間に不服審判所というものがあります。
というわけで、裁判所の判決文が非常に参考になるのですが、
今回の貸倒損失の場合、最高裁平成16年12月24日判決が参考になります。
内容は非常に難しいので、核心の部分を記載します。
法人の各事業年度の所得の金額の計算において,金銭債権の貸倒損失を法人税法22条3項3号にいう「当該事業年度の損失の額」として当該事業年度の損金の額に算入するためには,当該金銭債権の全額が回収不能であることを要すると解される。そして,その全額が回収不能であることは客観的に明らかでなければならない(以下、略)
この判決文のなかに通達の文言がないことからも、
裁判所は通達をベースにしていないことがうかがえます。
一方で、金銭債権が回収不能であることが客観的に明らかでなければ、
損金に算入できないとも記載されています。
だれが金銭債権が回収不能であることを客観的にしなればならないのでしょうか。
税務署がそんなことをするわけがないので、もちろん納税者側でしょう。
というわけで、通達に従う必要はありませんが、
「回収見込みがない」だけで貸倒損失を計上するのは否認されても仕方ないでしょう。
というか、否認しろ、税務署!仕事しろ!